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「本当は、サクアは霊媒師に最も向かない体質の人だ。その霊力を吸われてしまえば霊を強くするなんて、悪霊と対峙したときには不向きだからね。けれども君はその霊力を今現在制御しきれていない。これは危険な状態だ、よく今まで無事だったと賞賛したいくらいに。その制御を学ぶために入学し、霊媒師となるか否かはまた考えたら良いんじゃないかな。それに……」
そこで一旦区切り紅茶に口を付けた三谷原さんは、音を立ててカップを置くと、瞳を鋭くした。
「そのままでは、君の周りも危険な状態となる。その被害から守るためにも入学した方が良いと、僕は判断する。何も幽霊科で学ぶのは、霊の成仏の方法だけじゃない、霊から身を守るための護衛の術も学べるんだ。それは君にとっても、必要なものばかりじゃないのかい?」
三谷原さんは、僕の幽霊恐怖症を知っている。
知っててなお霊と関わる場所を勧めるのはそれほどまでに、僕の状態が危険だから。
分かっていたけれど突きつけられる現実に、僕は唇を噛みしめ俯いた。
そんな僕に肩に手を置いた三谷原さんは、「まだ時間はあるから、ゆっくり考えてから決めなさい」と言ってくれて。
それに対して「はい」と返事を返し、促されるままカップに口を付ける。
けれど悩んだところで変わらない、『幽霊科』に入学するのは最善手であり、逃げているのは僕の意地。
だから――。
「あの子が良いと言うんなら……僕は、入学したい、です」
何もかもが僕のせいなのだから。
僕が先に覚悟を決めなくて、どうするの。
そんな思いで、僕は顔を上げ自分の意思を示した。
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