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契約
「君は本当に、僕を守ってくれるの? 僕に霊力の扱い方と、使い方を教ええてくれる?」
『それは面倒臭いかな。学校で習えば良いでしょ。でも、守るのは本当だよ』
「そっか……そう」
今まで、僕は瑛斗に守ってもらってきた。
霊の見えない瑛斗に、守ってもらってきた。
その負担は大きなものだっただろう、そして『幽霊科』に入学したら白羽くんに、その負担はいく。
守ってもらうしかできない自分、一人ではどこにも行けない自分。
普通の高校に行ったら危険でしかない僕、だから『幽霊科』に進学するしかない。
でも……白羽くんに守ってもらうのは、辛いんだ。
もう一人の僕が白羽くんと一緒にいるのはいい、あの二人は愛し合っている。それは昨日散々見てきた。
けれどその感情をそのまま、僕に向けて欲しくはない。
僕と彼は違うんだ、違う人格、違う人。
それを白羽くんは、全然分かっていない。
そのまま彼と同じように接して、守られたくはなかった。
だから――。
「いいよ。契約、結ぼうか」
『……いい、の?』
「うん」
戸惑う霊に手を差しだして、恐怖の心なんて押し込めてにこりと笑った。
僕が本当に契約を結んでくれると思わなかったのか、目を瞬かせ僕の様子を伺っていた霊は、けれど僕の手に自らの手を重ねる。
『これからよろしくね、紫乃』
「うん。よろしく、ルカ」
この霊は、きっと悪霊。
その悪い気が僕に入り、僕の霊力と絡ませて繋がりを作っていく。
そして完全に繋がりが作られて霊も消え、少し経ち場所を記したメールを送り。
「こんな所に連れ出して、どうしたんだ?」
「つーかお前、大丈夫なの? 怖くねえ? 震えてねえ?」
呼び出しに応じて、白羽くんと瑛斗が僕の前に現れた。
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