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エピローグ 1
「ちょっと、何で僕がこんなことしなくちゃいけないの」
『仕方ないでしょ。これは君の力が露出した結果でもあるんだから』
夏休みの最終日。
宿題に慌てる人も多い今日この日、僕はルカの『こっちに来て欲しい』という声を受け大人しく付いて行くと、『浄化して』とつっけんどんに言われたのだ。
『ボク、これでも霊が生身の人に被害を被らないように抑えていたんだよ? でもあまりの数にもうムリ。そもそも、抑えてたのだって君と契約を結ぶためだしね。契約を結んだ今、ただの労力の無駄。だから早く、浄化しちゃってよ。紫乃なら、出来るでしょ?』
「君……僕に脅したり懇願してきた姿はどこに行ったの? 今は覇気がないというか、厭味ったらしいというか……それが素?」
『そうだよ。ボクは悪霊、覇気なんてあるわけないでしょ』
それが当然、というように言い返すルカにジト目を送り、僕はため息をつき両手を地面につけた。
そして校舎の中に蔓延る負のエネルギーを少しずつ、少しずつ浄化していく。
ルカは、僕の漏れた霊力によって集まった霊をこの旧校舎に集めていたらしい。
それで被害が出ることを防いでいたわけだが、実は学校に通う生徒にちょっかいを出す霊が近頃現れ始めたらしいのだ。
それで急遽、こうして被害が拡大しないように、浄化することになった。
「マサは、してくれなかったの?」
『白羽真斗は、ここの調査に回された者だよ。ある程度情報を集めてから、それから浄化に移ろうと考えていたんじゃない? それに彼一人では、ここの浄化は無理だしね』
「まあ……そうだね」
ここが浄化されたと知ったマサは、すぐに僕の仕業だと気づくだろう。
それにより残される彼の仕事はここの負のエネルギーを吸い悪霊化した霊の後始末のみ。
この作業が彼の為にもなるのだと思うと、俄然やる気が湧いてきた。
力を強めた僕は、一気に浄化作業を進める。
『もう準備は出来たの?』
「ほとんどね。三谷原さんが推薦状は出してくれるし、親にも相談したし。何事もなく、入学できそうだよ」
『親、ね……。表の紫乃はまだ、知らないんでしょ? 君が抱えている事情について』
「知らないよ、暫くは知らせる気もない。『幽霊科』では僕は極力表へ出ない。あの子にも変装をしてもらう。万全の準備を整えてじゃないと、入学なんて出来ないからね。もちろん、君も気を付けるんだよ」
『分かってるよ。人のいる所では話しかけない常識くらい、ボクにもあるよ』
「ならいいんだけど」
話しているうちに浄化作業を終えた僕は、両手を地面から離して立ち上がった。
そしてカサリと、ポケットからある紙を取り出す。
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