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第4話
次の日。俺は朝から上機嫌で学校に登校してきた。
「おはよー那智!どうしたんだお前、ずいぶんと機嫌がいいじゃん」
するとそんな俺を見た親友の1人が声をかけてきた。
名前は清水 啓吾(シミズ ケイゴ)。能天気な性格で誰からも好かれるいい奴。啓吾とは親同士が仲が良いのもあって小さい頃からずっと一緒にいた。俗に言う幼馴染みというやつだ。
「あぁ、今日から3週間俺には子分ができるから」
「えっ、子分!?え、なんでそんなのが急にできたの」
那智の話を聞いた瞬間、啓吾はこぼれ落ちそうな程大きく目を見開き驚いていた。
「那智のその顔なら子分も自然にできちゃうんじゃないの」
ニマニマと喜びを隠しきれない笑みを啓吾に向けていれば、後ろから何やら失礼な発言が聞こえてきた。
そちらの方へ顔を向ければ、そこにはもう1人の親友、安藤 優也(アンドウ ユウヤ)がいた。
優也はクールで、無口まではいかないが口数は少ない。かっこいいとか可愛いとかではなく
綺麗という言葉が優也には一番似合ってると思う。
「冗談はよせよ優也。まぁ、なんで子分ができたかっていうとだな、」
それから俺は昨日の出来事を2人に話した。
でもあいつが俺を馬鹿にしてきたこととか、力が全然敵わなかったこととか自分の都合が悪いことは一切言わなかったが。
「そんなことあるんだな。あ、でもそいつになんか悪くねぇか?」
「何言ってんだよ啓吾!世の中お前みたいなそんな甘~い考えじゃやってけねぇよ?」
「うっ、それでも俺なら最後にはやっぱり断るな」そう、俺に言い返してきた啓吾に俺は本当こいつは甘すぎるなと改めて思った。
「で、そのパシる奴って誰なの」
「え、湊 琉依だけど」
「「 えっ!?」」
急に啓吾は口を戦慄かせ、クールな優也さえも驚いたかのようにこちらを見てきた。
「あの湊 琉依が!?」
「そうだけど...。なんでそんなに驚くんだよ」
「だって湊って言ったら喧嘩っ早くて有名で、誰かの下に付くなんてありえないような奴なんだぞ!そんなやつが...」
「とりあえず落ち着けよ啓吾。いいじゃん、あいつがパシリって結構優越感あるし」
そういう俺を見て、啓吾は何とも呆れた顔で深いため息をした。
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