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第7話
只今、俺は学校の授業も終え、家に帰宅したところ。
そして隣にはアッシーの湊。
理由はひとつ、課題を全部やってもらうためだった。学校に残ってやるのは気が散るから嫌だと言う湊はわざわざ那智の家までついてきた。
- まぁ、その分手間が増えるのは湊の方だからいいけど。
「はい、これが課題」
湊に課題を渡すと俺はそのままベットの上に横になった。今日は課題をやる湊の前で嫌味なくらいに有意義に過ごしてやろうと息巻く。
「お前の部屋、綺麗にしてあるんだな。...意外に」
部屋の中を見回すと感心したような声でそう呟くと湊だが、最後の余計な一言に那智は眉をひそめる。
「意外って何だよ!俺だって彼女連れてくることも多かったしそりゃそれなりにきれいにはしてるさ」
「よく来るのか」
俺の言葉を聞くなり急に暗く、素気ない口調になる湊に一瞬ビクつくが俺は気にせず話し続ける。
「だ、だって遊びに来たいとかって言われるからさ。俺も女の子と遊ぶの好きだし」
「でも三週間はそう言われても連れてくるなよ」
「なんだよ。それぐらい、いいじゃん」そんな言葉が喉まで出かかるが先程までとは違い酷く切なげな表情をしている目の前の男に、とてもじゃないが否定などできる雰囲気ではなく大人しく那智はわかった、と頷く。
「わかってくれたなら結構」
そういうなり机の前に座り湊は俺の課題をやり始めた。
― 何だったんだよ、さっきの...。急にあんな顔しやがって意味わかんねぇ。
結局なにも言い返すこともなく、無言の湊の背を見て那智はガシガシと頭を掻いた。
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