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第10話

 何とも言えない気持ちになり気分転換に嫌がらせの一つでもしてやろうと、那智は体をベッドに預けてわざとらしくため息をした。  「あー、暇だなぁ。この暇な時間誰かさんに分けてやりてぇぐらいだ。んん、なんて有意義な時間なんだろうか」  少しわざとらし過ぎたか、とも思ったが湊は何を言うわけでもなく那智のことを見てきていた。  「...誘ってんのか?」  「...えっ?」    湊は頬に手をつきニヤニヤと笑っている。  「なんでそっちの方にいくんだよ!」  「...なんでだろうねぇ」  この人間はゲイなのか。一瞬疑いをかけるが、すぐにこいつは人の彼女を寝取るヤリチンだったんだ、とその疑問をなぎ払う。  ―ってことは、やっぱり俺のことを揶揄って楽しんでるのか!  「馬鹿にしやがって...!」  「別に俺は馬鹿にしてるつもりはない」  「どうだか」  すっと起き上がりムスッとした顔のまま湊から視線を外す。  - そういえばこいつ俺の元カノと付き合ってるのか...?  好きだったわけではないが、元カノがこいつと付き合ってたらそれはそれでなんだか複雑な気分だった。  「湊って俺の元カノと付き合ってるわけ?」  なんとなく...そう、なんとなく湊にそんな疑問を投げかけた。  「気になんの?」  「別に、なんとなく...」  「ふーん。付き合ってないけど」  「あっそ。...て、えっ!でもお前...――」  その時、那智の頭の中に浮かんだのはあの日の放課後、元カノと湊が危ない雰囲気を醸し出していた時のこと。

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