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第14話
次の日。那智は昨日のわだかまりを未だに残し暗い気持ちのまま、学校へ向かった。
「なんでお前がいるんだよ」
教室に着いた那智の第一声はそれだった。
もちろんそれはあいつ...湊に向かってだ。
「おはよ。てか、お前会ってすぐにいうことがそれかよ。しかも俺を見た瞬間に嫌そうな顔しやがって」
那智の席に座っている湊はあからさまに不機嫌な顔になるその姿を見て、苦笑していた。
そんな湊を無視して那智は自分の机に鞄をかけるとそのまま教室を出る。...いや、正しくは出ようとした。
「どっかに行くのか?」
「...あぁ、お前がいないとこにな」
後ろから肩を掴まれ歩みを止められる。ムッとしながらも素気なく返事を返せば、「じゃあ俺も行く」と笑顔を向けられた。
それは爽やかな笑顔だった。しかしどこか引っかかる...。
嘘くさい...そう思った。
「それがお前の営業スマイルかよ」
「これですぐイチコロ」
「....最低」
「ちょ、おい。今のは冗談!怒るなって、」
その返答にイラっときた那智はスタスタと早足で教室を後にする。
湊はすぐに俺の横まで来て歩調を合わせると相変わらずの憎たらしい笑みを向けてくる。
「で、どこに行くんだ」
「...どこだっていいだろ。てか、まだついてくるのかよ」
「だって俺はお前のパシリだろ?いつどこでお前にパシラれるのかわからないからな」
...は?何言ってんの無理無理。お前がいたら落ち着いて休息という名のサボりができないじゃないか。
せっかく今日は屋上でゆっくりしようと思ってたのに。
「だったら今は何もパシることないからクラスに戻れよ」
「無理」
那智の言うことを全く聞こうとしない湊についにカチンときた。
「だぁーーっ!イラつく!」
「おいおい、せっかくのいい顔が台無しになってんぞ」
歩く足を止め頭を両手でガシガシと掻きまわす。
あぁ、あぁ、こんなにイラつくのはいつ振りだろうか。
しかし、そう思ってすぐ、いや湊と会ってからはずっとこうだったか。と考え直す。
「うっさい!」
ギャーギャーと喚いている那智とは違って湊は余裕な面持ちで那智のことを見てきていた。
あ゛ー!クソっ!こいつの行動すべてが俺より上みたいで最高潮にイラつくな!
そして俺は行き場のない怒りを抱えながら強制的に湊と2人で屋上へと向かった。
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