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第15話

 ――ビュゥ...―  屋上への扉を開けると外の空気がその隙間から流れてきて那智と湊にあたる。  天気は晴れ晴れとしていて良い屋上日和だった。  そして那智はそのままフェンスの方へと行き腰を下ろした。  「いつも来てるのか?」  「...たまにな」  「ふーん」  なんとも興味無さ気に湊は返事を返すと那智の隣に腰を下ろした。  そして会話は途切れる。気まずい沈黙が2人の間に訪れる。  ...だから嫌だったんだ。  何だかんだ言っても那智が湊と会ったのなんてほんの2~3日前だ。  しかも話すようになった理由が理由なだけに特に共通の話題などもない。  元々那智自身もお喋りな方ではあるがさすがに限界というものもある。  「お前ってさ...」  どうしよう。そう悩み始めた時、急に黙りこくっていた湊が話しかけてきた。  「なんか、悩みなさそうだよな」  「...は?」  そして沈黙を破った湊の呟きに那智は一瞬にして顔を顰めさせる。  ― 今こいつまた俺のことを馬鹿にしたようなことを言わなかったか?  「お前...俺のこと能天気なバカだって言いたいのか」  「...別にそういうわけじゃない」  また俺のことをバカにしてるのか、と睨みを利かせるが、その時に見た湊の顔を見て那智はそれ以上何も言えなくなった。  「....っ」  湊と目が合う。もちろんそれはいつものバカにしているようなものではなく、どこか羨むような少し冷たい視線。  湊の急な変化に俺はどうすればいいか分からなくなり、視線を逸らしてしまった。

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