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第17話
「さぁさ、上った上った!」
昼休みになりさっそく那智は屋上に集まった三人を上に登らせた。
さやからはつい先程あと2〜3分で着くと連絡があった。
「なぁなぁ、どういう風にフるつもりなんだ?」
「それはもうズバッとバッサリ!」
そう言い那智は聞いてきた啓吾に向かってビッと親指を立てた。
「それ、見る甲斐があるな~。期待してるぞー!」
「まかせとけっ!」
啓吾はワクワクとした面持ちをしていた。
啓吾もいい子ちゃんな時はいい子ちゃんだが、悪い時はとことん酷かった。
湊のパシリの件などは“そんなこと悪いって”とか“かわいそうだ”などといい子ちゃんな感じだったが、今は悪い時で昼休みが近付くにつれて俺と一緒に楽しみだな、なんて言っていたくらいだ。
こういう啓吾の反対と賛成の境界線は幼い頃からずっと一緒にいるが未だに上手く掴めない。
「優也と湊もちゃんと見ろよ!」
那智が二人にそういうと優也は特に興味がない様子で返事をして、湊は「わかってるって」と、いつものように少し馬鹿にした言い方で返してきた。
そしてそれからすぐにさやは屋上に現れた。
三人は息を潜ませて上から那智とさやを窺っており、こちらとしては何だか楽しくなってきた。
酷いかもしれないが“目には目を、歯には歯を”だ。傷付けられっぱなしで利用されるなんて絶対に嫌だった。
そうして那智はいつものヘラヘラとした笑顔を顔に浮かべた。
その笑顔に勘違いしたさやはどこかホッとした様子で話を切り出してきた。
「あのね、那智。私、那智のことフッたけど本当はまだ、那智のことが好きでね...」
「...あぁ、急に本題だね。でもさ、言わせてもらうけどあの時さやは湊といい感じじゃなかった?」
あの時...それはさやと湊の決定的瞬間を目撃してしまった時のことだった。
「そ...それなんだけど、あれは違うの!!私、本当は嫌だったんだけど、あっちの方が言うこと聞かないと暴力振るうって脅してきて...だから私...」
“怖かった”そうさやは呟きわざとらしく身体を縮込ませた。
その理由とさやの行動に那智はクックと笑った。目の前の女はなんて見え透いた嘘をつくのだろうか。俺ならこの嘘で何とかなるとでも思っているのか。
「暴力で脅された?フッたのもそれが理由だって?」
「...那、智?」
段々とさやへの怒りが増し、声のトーンも下がっていく。
そんな俺に対し、さやも酷く反応に戸惑っていた。
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