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第18話

 「あのさ、百歩譲ってその話が本当だったとして」  困るさやに俺は言い聞かせるようにゆっくりと告げる。  「どうして俺が居合わせた時に助けを求めなかったんだよ」   那智がそう言えば、さやは何も言うことができない様子で、下唇を噛み目をキョロキョロと泳がせた。  「実際は俺と別れたはいいが、当の湊は付き合ってくれなくて、焦ったお前は理由つけてまた俺と付き合おうとしたんだろ?...こっちはそんなお前の考え見え見えなんだよ」  那智の言葉にさやは羞恥で顔を赤くし、そのまま入り口のほうへと走っていき、逃げていった。  「俺はそこまで馬鹿じゃないしお人好しでもないっての」  あー愉快だ愉快。なんとも呆気ない。  先程までのさやの顔を思い出し楽しくなって笑いが出てきた。  「やるじゃん那智!俺、超興奮しちゃったよ!本当に手加減なしでバッサリ言ってたな」  一番乗りで来たのはやはり啓吾だった。  「だろ!俺だって、やればできる子だから」  そして啓吾は笑いながら降りてきて、それに続いて他の2人も降りてくる。  優也は最初から興味無さ気だったから特に感想も聞かなかった。  それよりも那智は湊の反応が気になった。  優也のように興味がない感じなのか?それとも啓吾みたいに一緒に盛り上がってくれるのか?  「なぁ、湊はどう思った?」  しかし、那智の問いに湊は予想外の反応をとった。  「どうって...こういうこと平気でやるやつだったんだって思っただけ。」  湊はまるで失望したと言っているような冷たい視線を那智に送った。  そんな湊の反応とセリフになぜか胸がチクリと痛くなった。  表ではそっかぁ、などと軽く流したが心は苦しかった。  今の俺を見て湊は俺のことを軽蔑したのだろうか...嫌いになった?  そんなこと考えると何故か余計に胸は苦しくなっていった。  もう笑っていても心からは笑えない...なにも楽しくない...  俺の中で高まっていた高揚感は一気に下がった。  ― なんにも...おもしろくない。

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