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第19話

 あれから1週間が経った。  「なぁ、今日も呼んだのか?」  朝、通学路を啓吾と一緒に歩いていると、ふとそんなことを言われた。  「ん?呼んだけど...」  「...毎日門の前で待たせて、なんか悪くないか」  「いいんだよ、別に...あいつは俺のパシリだし、」  那智は前を向きながらぶっきら棒にそう言った。  確かに俺はあの日の翌日から毎日湊を門の前で待たせていた。  なんでかは...よくわからない  だがなぜだか、胸がソワソワしてしまって気がついたら毎日メールで湊のことを呼んでいた。  湊のことだからメールでわざわざ呼ばなくても休み時間などには来てくれる。  頭でそうはわかっていても違う可能性を考えてしまう...  もしかしたら湊は来ないかもしれない...そう思うと無意識のうちに指は携帯のボタンをカチカチと押していた。  「でも...」  だが、啓吾は不満があるのか眉を下げ、ムスッとした表情でこちらを見てきていた。変に問い詰められる前に話題を変えなければ、と那智は頭をフル回転させる。  「そ、そういえばさ、最近登下校とか一緒だけど部活はいいのか?」  「...部活は休みだよ。前期のテストの1週間前にもう入ってるからな」  「う゛っ!テスト!!」  俺はその存在をバッチリ忘れていた。

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