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第30話

 「どうしてなんだよー!今回こそ...今回こそは那智も俺と同族になると思ってたのに!」  その日の放課後になり、那智の今日もらったテストの点数を見た啓吾は机にうなだれていた。  「まぁ、俺はやればできる子だからな。啓吾と違ってさ」  「くそーっ」  啓吾は何とも悔しそうな目で那智のことを見てきていた。  そんな悔しい顔をするぐらいなら初めから勉強しておけばよかったのに。  「それよりもお前は点数悪すぎて先生さまにお呼ばれされてるんだろ?早く職員室に行ってこいよ、俺は優雅に帰らせてもらうからよ」  「がーっ、悔しい!」  勢いよく立ちあがった啓吾はそのまま教室を飛び出していった。  もう何度啓吾のその行動を見てきたことだろうか。  「まぁ、自業自得なんだからしょうがない」  啓吾が消え去っていった方向を向きながら那智はそう呟く。  そして立ち上がると今、一番この結果を教えてやりたい奴の元へと足早に向かった。  そいつは廊下で那智のことを待っていた。  「湊!」  「おう、」  今日はテストの結果を一気に見せたかった為、休み時間は合わないと湊に言っていた。  だから、今日初めて湊の顔を見た。  「見ろよこれ!」  バッと俺は手に持っていたテストたちを湊の眼前にさらす。  「おっ、結構いいじゃん」  「だろだろ!」  テストの点数を見た湊はそう言い、それからいつもみたいにガシガシと那智の頭を撫でた。  口元が緩まりニヤける。  今のこの雰囲気がすごく好きだった。なんだか心の中が温かくなっていく感じで。  「じゃあ、今日はテストも終わったしどっか食べにでも行くか」  「おぉ!行こうぜ行こうぜ!」  返されたテスト用紙を鞄にしまい、那智は高揚した気分の中、湊と学校を後にした。

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