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第48話※

 「さっき、本当は湊と那智のことを離したいってずっと考えてただろ。で、今はそれができなくて苛々してる」  湊と那智の二人が消えた頃、近くにいた優也が周りには聞こえないくらいの声音でそう言ってきた。  「...ふん」  図星なだけに片眉がぴくりと動くが、素直に頷きたくなくて顔を背ける。  優也は俺が那智のことを好きだということを知っている。優也と那智と俺の三人で行動するようになったのは高校に入ってからだった。  そして高1になって初めての夏が訪れる頃、優也はいつもの無表情のまま唐突にこう言ってきたのだ。『お前、那智のこと好きだろ』と。  その言葉に焦り、何とかごまかそうとしたが、優也にそんなことは効かず、どうしようもなくなった俺は素直に那智への想いを話した。  優也は特に引いたりはせず、むしろ応援さえしてくれた。  今では那智のことについては優也に相談したりするぐらいだし。  「言っておくが、あの時俺が湊をパシリにすることを反対しても結果は同じだったからな」  「...わかってるよ」  優也は湊が俺のことを好いていない理由も知っている。  だから本音を言うとパシリの件は反対してほしかった。 事実が変わることがないとわかっていても...それでも反対してほしかった。

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