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第49話※
最近那智と一緒にいる時間が少ない。
学校にいても那智はいつも湊と一緒にどこかへ行ってしまう。
この3週間ずっとそうだった。
「ムカつくって、言ってたくせに...」
那智は言ってることとやってることが矛盾している。ムカつくなら一緒にいなければいいのに。
でも今日でこの暗い気持ちともおさらばできるはずだ。――今日が約束の期限、3週間の最後の日だから。
...ということは明日からまた那智と一緒にいられる。
部活も終わり家への帰宅途中、俺はそんなことを考えていた。
「明日の為に溜まったストレスでも抜いてくるか」
さっそく1人で寂しいが、啓吾は街に出掛けることにした。
―
――
―――
「やっぱこの時間帯は人混みヤバいなぁ」
街の方は帰宅途中のサラリーマンから俺のような高校生であろう若者がたくさんいた。
「いつもだったら隣には那智がいるんだけどなー」
あぁ、那智に会いたい。一緒に遊びたい。隣を歩いてほしい。
いるはずがないと思いながらも、那智がどこかにいないだろうかとキョロキョロしながら歩いた。
「...いるわけないか...って、え?」
あきらめることなくあたりを見渡しながら歩いてしばらく、ふと見覚えのある愛しい後姿が視界に入った。
「な、那智?」
まさかの人物が急に現れ、探していたくせに啓吾は狼狽してまった。
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