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第51話

 「今日も...か、」  学校の教室に着き、那智はある空席の机を見て最近恒例になりつつある溜息をした。  その席は自分の後ろ、啓吾の席だ。  那智が自分の気持ちに気づき啓吾に打ち明けた次の日から啓吾は那智の前に姿を現さなくなった。  朝はいつも部活の朝練がない日は迎えに来てくれたのに、今ではそんなこともない。  メールをしても電話をしても通じない。無視ばかりされる。  「なんで...俺が何をしたっていうんだよ」  こんなこと今まで一度もなかった。だからどう対処すればいいのかが分からない。  湊には特別な人がいて俺の想いは自覚してすぐに打ち崩された。  それが悲しくて、でもまだ諦めれなくて...こんな気持は初めてで俺は戸惑うばかり。  いつも一緒にいてくれた啓吾もそばにいない。那智は精神的にも疲れ切っていた。  「なぁなぁ、俺さ昨日見ちゃったんだけどよ、放課後街の中歩いてたらウワサ通りの姿の啓吾を発見したんよ~」  「え、あの噂本当だったのかよ。最近やたらとよく聞くけどまさか...ねぇ...」  自分の席に座り、ぼーっと窓の方を見ていると教室にいたある男子2人が啓吾の話をしているのが聞こえてきた。  ―ウワサ通りの姿―  ほんの数日で啓吾の悪い噂が学校中で広まっていた。  “ケンカに明け暮れ、毎日違う女と街を歩いている。”そんな噂が広まっていた。  そして男女問わず皆、口をそろえて那智にそのことを聞いてくる。  だけどそんなの那智は知らない。それにそもそもそんな噂は信じちゃいない。きっと人違いだ。  啓吾はそんなことしない。ケンカなんてしないし、もちろん女たらしなんかでもない。  今まで啓吾とずっと一緒にいたがそんなところは一度も見たことがない。  啓吾はそんなこと...

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