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第61話
「...ふ、ぐっ...ぅ、」
啓吾に突かれるたびにそんな考えが頭を廻る。
しかしそんなこともお構いなしに啓吾は激しく那智を攻めたてる。
「...んんっ!あっ...あぁっ、くっ、」
「ははっ、気持ちい...?那智、」
啓吾は那智の服を掴むと、少し角度を変え先程のあの一点を突いてきた。
すると今まで感じたことがないほどの快感に、一瞬目の前が真っ白になった。
それと同時に萎え切っていた那智のものも反応して大きくなっていく。
「...っ..ぁ、ふ...あっ、んん..っ、」
意思とは関係なしに疼く内壁を擦りあげながら奥へ奥へと熱い啓吾のものが埋め込まれ、一点を先端で抉るように擦られる。
そんな快感に堪らず喘ぎ声を上げる。最低だ...大嫌いだ。
犯されて喘いでいる自分も、俺を犯す啓吾も...
「那智...な、ち...っ、」
「あぅっ、あ...っ、ぁ...はげし...っ、」
段々と性急に激しく上下に揺さぶられ、途中途中意識が飛びかける。
喘ぐたびに、感じるたびに、罪悪感が心を浸食していく。
「けい...ご、もう...嫌、だ...っ」
こんなに苦しいのに体はそんな気持ちも知らずに快感に反応し、熱くなっていく。
何度も何度も一点を抉られ、そして擦られ、敏感な最奥を力強く突き上げられる。
この行為には痛みはあった。しかしすでに那智は限界がきていた。先ばしりが垂れ、太股をつたう。
でもイケない...もうはち切れそうなくらいなのに、イケなくて、快感だけが那智を苦しめる。
「那智...腰、」
「っ!」
イケずに苦しんでいると啓吾はおもむろにそう言ってきた。そして那智はその言葉を聞いてハッとした。
自分は激しく啓吾に突き上げられながら、自らも動きに合わせて腰を振っていた。
そんな無意識な自身の行動に追いつめられ、那智の中の何かが崩れさる音がした。
もう、心はボロボロだった。
「ふぅっ...ぅっ、く...っ、」
涙も止まることなく流れ続ける。こんな自分の体が嫌で、辛くて...全てを拒絶するかのように目を瞑った。
『お前は本当にバカだよなぁ』
「...みな、と...」
すると瞼の裏に湊が浮かび、何度も言われていたその言葉が聞こえた気がした。
大好きなその姿...声、
「...湊...みな、と...ふ、ぁっ、」
会いたい、ただただ湊に会いたかった。
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