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第71話※

 「な、なんなんだよ!」  「おい、前田もう行こうぜ、こいつ強すぎ...っ、」  最初、大人数に1人相手だったため前田たちは余裕の顔をしていた。  しかし今現在、立場は逆転していた。  目の前の少年は次々と前田達の攻撃をかわし、表情一つ変えずに1人、また1人と奴らを地に伏せさせていった。  するとさすがに前田、そして周りの奴らも顔を青くし悔しそうな顔をして逃げていく。  俺はやつらの背中を見届け、クスッと笑った。 哀れだな、と思った。いじめなんてしようとするから悪いんだ。  「おい、お前何笑ってんだよ」  前田達が去っていった方を見ていると前方から妙に落ち着いたトーンで少年に声を掛けられた。  「...あ、えと...って、うわ!」  その声の低さに慌てて少年の方を見れば、急に胸倉を掴まれた。  「なんでいじめられてて笑えるんだよ。悔しいとか思わないわけ?」  「...っ」  悔しいに...決まってるだろ。でも俺は何もできないから、  そんな言葉を言いたいがビビリな俺はその少年の瞳が怖くて口を動かすことができない。  「...はぁ、ったく...」  「...っ、げほげほっ、」  震えるばかりで何も話さないことに呆れてか、少年は掴んでいた手を離し俺は地面に尻もちをついた。  離されたことによって気道が広くなり、大量の酸素を一気に吸い込み咳き込んだ。  「お前、名前は?」  「...の、ぞむ。...村澤、望(ムラサワ ノゾム)」  元々俺は人見知りだ。一緒の空間に赤の他人がいるだけで逃げ出したくなってしまう。  まぁ、この少年の前では恐くてそんなことできないが...ともかくその人見知りのせいで声も思ったように出ず、消え入りそうな小さな声になってしまった。

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