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第10話

「私は血液を吸わない。代わりに、男のザーメンを舐める」  医療においては、唾液、精液、体液は血液と一緒だ、とナハトが笑う。  許せない。  真悟の顔で、悪い笑いをするなんて、許せない。  だが、そんなナハトの手によってイカされた、情けない自分がここにいる。  なすすべもなく中出しされた、ふがいない自分がここにいる。 「ちなみに私のザーメンを受け入れ続けた人間は、やがて我が眷属の仲間入りだ」 「!?」 「お前がヴァンパイヤになるんだよ、人間」  わなわなと震え、声も出せずにいる塁から引き抜くと、ナハトは首輪を回収した。 「その暁には、私のハーレムに加えてやる。喜べ」  がちゃん、と無機質な鎖の音が、塁の心に食い込んだ。

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