6 / 159

第一章・6

「私が欲しい白は、もっとこう。何物にも侵されない、純白!」 「また、悪い癖が始まりましたね」 「悪い癖、とは何だ。この情熱、お前には伝わらないのか?」  どうでもいいですが、早いところ顔を洗ってください。   そう言って、洗面器をベッドサイドに置くピキだ。 「ピキ、お前は私の何だ?」 「秘書ですけど」  その秘書に命ずる、とヴェルフェルは勿体ぶって宣言した。 「純白の羽の持ち主を、探し出して私に報告せよ。今日中にだ!」  その言葉が終わるや否や、ピキはダッシュで寝室を飛び出していった。  こういう時の主の言いつけは、最優先事項だ。  できなければ、剣呑なお仕置きが待っている! 「ピキ、朝食は?」  しかしもう、ピキはヴェルフェルに構ってはくれなかった。

ともだちにシェアしよう!