「え～。皆さんに、新しい担任の先生を紹介します」 　学年主任の鈴木先生の隣に立っているのは、パリッとスーツを着こなした若いイケメン先生だった。 「涼宮 比呂士（すずみや ひろし）です。よろしく」 　生徒たちは皆、息を呑んだ。 　カッコいい！ 　前担任の佐藤先生は、50代のベテランだったが、肝機能障害で急遽入院した。 　それから交代で、他クラスや他学年の先生が顔を見せていたが、ようやく新しい担任の先生が決まったのだ。 　クラスメートが浮足立つ中、輪だけは違和感を覚えていた。 （どこか……、人間離れしてる） 　まとう空気が、常人のそれとは何か変わっている。 　そんな輪を目ざとく見つけ、比呂士は薄く微笑んだ。 （よろしく、純白の羽をもつ天使候補生・リンくん） 　彼こそが、人間界へ降りた大悪魔・ヴェルフェルだった。