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第二章 契約
「涼宮先生、僕ちょっと相談したいことがあるんですけど」
放課後、そう言ってきたのは輪だった。
(あちらの方から近づいて来てくれるとは、何と好都合な)
内心ほくそ笑みながら、比呂士は頷いた。
「いいとも。生徒指導室へ行こうか」
それには、首を横に振る輪だ。
「屋上で、待っています」
そう言って、去ってしまった。
(屋上とはまた、好都合な)
他の教諭が入って来る可能性もある指導室では、深い話もできない。
新しい先生を物珍し気に囲む生徒たちの相手を軽くいなし、比呂士は屋上への階段を上った。
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