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第二章・3
「いいでしょう」
輪の体が、ほの白く発光した。
柔らかな光と共に、その背から浮かび上がり広げられた一対の鳥のような翼。
「おお……!」
比呂士は思わず感嘆の声を漏らしていた。
まさしく、白。
汚れなき、純白の翼!
「これでいいでしょう? さあ、次は先生の番です」
「よかろう」
比呂士はその場に軽く浮き、体を一回転させた。
つむじ風が起き、それが止むとともに現れたのは、魔界の大悪魔・ヴェルフェルの姿だった。
頭部には、二本の角。
そして背には、輪と似た一対の翼が。
ただその色は、闇のような漆黒だった。
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