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第二章・7

 翌朝、比呂士が教室へ入ると、何と輪が自ら近づいて来た。 「どうした、リン」 「しッ! ここでは先生として振舞ってください!」 「面倒くさいな。では、どうした、西丘」 「山本くんのシューズが、無くなっているんです」  見ると、小太りの男子生徒が裸足でうつむいている。 (今、人間界で流行の、いじめとか言う奴だな)  おそらく山本のシューズは、何者かによって隠されたのだろう。  ヴェルフェルにとってはどうでもいいことだが、比呂士にとっては事件だ。 「解った。探してやろう」  悪魔の眼をもってすれば、秒で発見できるのだが、そこは一呼吸置くことにした。

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