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第二章・9
そして肝を冷やしたのは、シューズを池に沈めた張本人たちだった。
比呂士は、彼らが犯人だということも承知していた。
だが、それを暴露することはしなかった。
その代わり、一瞬だけ目を合わせたのだ。
私は何もかもお見通しだぞ、とでも言うように。
これには、いじめグループも参った。
いつアゲられて、親が呼び出されるかしれない。
下手を打つと、停学になるやもしれない。
「山本には、あとで私が新しいシューズを買ってやろう」
さあ皆、席に着け。
見事な采配に、輪は舌を巻いていた。
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