20 / 159
第二章・10
「涼宮先生、僕ちょっと相談したいことがあるんですけど」
「どこかで聞いたセリフだ」
また屋上か、と問うと、今度は指導室で充分です、と来た。
二人は揃って生徒指導室へこもり、向き合った。
「実は、隣のクラスでもいじめがあっていて。そのいじめられている子と、僕は友達なんですけど」
「今朝のように、私に裁いてみせろ、と?」
そこまではいきませんが、とやけに殊勝な輪だ。
「ただ、助言が欲しくて。彼、相当思いつめてるんです」
「例えば?」
輪は、思いつく限りのいじめを述べた。
靴を隠す、弁当をこっそり平らげる、赤点の答案を掲示板に張り出す、体操服をびしょぬれにしておく……。
ともだちにシェアしよう!