21 / 159

第二章・11

「素晴らしい悪事だ」 「悪魔的にはそうかもしれませんが!」 「いや、失敬。正体を明かさずに悪事を行うのは、確かに私の美学にも反する」  比呂士は大きく伸びをした。 「いいだろう。明日にでも、その少年に会ってみよう」 「ホントですか!」  ただし、条件がある。  比呂士は条件として、輪を再び屋上へと連れ出した。 「さあ、美しい羽を見せておくれ。私の輪よ!」 「そういう言い方、やめてください……」  しぶしぶ翼を広げて見せた輪に、比呂士は擦り寄った。  そして純白の羽を手に取り、うっとりとした声を上げた。

ともだちにシェアしよう!