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第二章・14

「先生が何か言ったって、僕はやります!」 「本人の意思は固いな。輪、飛ばせてやれ」 「ダメーッ!」  ふふん、とそこで比呂士はニヤついた。 「では、輪。私と取引をしよう」 「取引?」  そうだ、と比呂士は、悪魔の姿を現した。 「お前が私のものになると約束すれば、山本の命は保証しよう」 「そんな……」  考えている間にも、山本は柵を越え無防備な体を風にさらしている。 「解りました! だから、早く山本くんを!」 「契約は成立だ」  その時、山本の足が宙へ踏み出した。

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