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第二章・15

 落ちて行く。  真っ逆さまに、落ちて行く僕の体。  ああ、そして、僕は死ぬ。  いいんだ、死んでも。  死んだ方がマシだ。  誰も、僕の死を悲しんだりしないんだから。 「それはどうかな?」 「え?」  比呂士の声に、山本は目を開いた。 「と、飛んでる!」  山本の体は下に向かって落ちるのではなく、上空高く飛んでいた。

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