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第二章・16
漆黒の羽でゆったりと遊覧飛行をしながら、比呂士は小脇に抱えた山本に話しかけた。
「少なくとも、西丘は悲しむ」
「西丘くん……」
「一緒に昼食を食べたり、宿題をしたり。そうそう、お前が書いた小説を読んで、褒めてくれたな」
なぜ、それを!?
「小説を書くと楽しいなぁ、山本。いじめられる自分の身の上までネタにするとは、見上げた根性だ」
「涼宮先生……?」
いや、これはもう涼宮先生ではない。
角を持ち、黒い翼で空を切るその姿は、まさしく……。
悪魔!
僕は今、悪魔と一緒に空を飛んでるんだ!
「今の状況もネタになるなぁ、山本。書きたくないか? 書きたいだろう。どうだ?」
「ううっ」
悪魔にさらわれ空を飛び、異世界転生をする主人公!
これで一本書ける!
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