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第二章・18

 約束は、守ってもらうぞ?  悪魔の微笑みには、意志をとろかす魔法でもかかっているのだろうか。  比呂士の差し出した手を、輪は握った。 (ああ。これで僕は、悪魔の所有物)  だがしかし。 「せめて、卒業するまで待ってくれませんか?」 「あと1年弱か。人間界に、未練でもあるのか?」  あなたのものになってしまった以上、天使になるのは諦めます、と輪は顔を上げた。 「でも、山本くんみたいに、心に傷を負った人がこの学校には大勢いるんです。彼らを、放ってはおけません!」

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