32 / 159

第三章・3

 比呂士は可笑しくなった。  喉で笑いながら、さらに輪をからかった。 「ふしだら、とはな。今から、そんなふしだらなことを、私とお前とでやるのだぞ?」 「えっ?」  真っ赤になった輪が、やたら愛らしい。 「当然だろう。お前は、私のものになったのだから。従属の儀式だ」 「そんな」 「すぐにでも魔界へ連れて行くつもりだったが、もう少しここに居たいと望んだのは、お前だ」  それまで、せいぜい楽しませてもらう。  そんな冷酷な比呂士の言葉に、輪の眼には涙が浮かんできた。

ともだちにシェアしよう!