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第三章・5
せっかくまとったバスローブを、輪はさっさと脱がされた。
かたや比呂士はと言えば、着衣のままだ。
「涼宮先生は、脱がないんですか?」
「それは私の美学に反する」
しかし、と比呂士は首を傾げた。
「涼宮先生、という呼び方も不自然だな。私のことは、ヴェルフェル様、と呼んでもらおうか」
「はい、ベルヘル様」
「ヴェ、とフェ、だ!」
言いにくいです、と困った顔をする輪に、困る比呂士だ。
「ならば、もうよい。好きに呼ぶがいい」
輪はそこで、彼を何と呼ぼうか考えたが、呼ぶ前に唇を塞がれてしまった。
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