44 / 159
第三章・15
「……気を失ったか」
ぐったりと脱力した輪を、比呂士は抱き寄せた。
体を拭き清め、パジャマを着せてやった。
「なかなか悦かったぞ」
そう囁き、軽いキスをした。
これでお前は、完全に私のものだ。
素敵な儀式を終え、比呂士も輪の横に転がった。
「すぐにでも標本にしたかったが、まぁこれも一興」
あと残り1年弱、こうやって具合の悦いセックスを味わうのもいいだろう。
そんな軽い気持ちの、比呂士だった。
これから先、何が彼を待ち受けるかなど思ってもいなかった。
ともだちにシェアしよう!