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第三章・15

「……気を失ったか」  ぐったりと脱力した輪を、比呂士は抱き寄せた。  体を拭き清め、パジャマを着せてやった。 「なかなか悦かったぞ」  そう囁き、軽いキスをした。  これでお前は、完全に私のものだ。  素敵な儀式を終え、比呂士も輪の横に転がった。 「すぐにでも標本にしたかったが、まぁこれも一興」  あと残り1年弱、こうやって具合の悦いセックスを味わうのもいいだろう。  そんな軽い気持ちの、比呂士だった。  これから先、何が彼を待ち受けるかなど思ってもいなかった。

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