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第四章・2

「起きろ、朝だ」 「……」 「どうした。具合でも悪いのか?」  口調は固いが、内容は優しい比呂士の言葉に、輪は素直に告げた。 「体がだるくて……、少し痛いんです……」  どこが痛い、とは言わなかった。  恥ずかしくて、そんなこと言えやしない。 「そうか。では今日は、一日寝て過ごすんだな」  だが、食事は摂れ。  そう、比呂士は付け加えた。 「食事?」 「もう準備ができている。パジャマのままでいいから、キッチンへ来い」  誰が準備したんだろう。 (まさか、先生が?)  興味が湧いたので、輪はベッドから這い出した。

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