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第四章・3

 広いテーブルには、美味しそうな料理がずらり並んでいた。  焼きたての柔らかなパン。たっぷりのヨーグルトに、新鮮なミルク。  ベーコンエッグが香ばしい匂いを漂わせ、温野菜のサラダは湯気を立てている。  フルーツに、チーズに、薫り高い紅茶。幾種かスウィーツも皿に乗っている。 「すごい……。天使長様の朝食みたい」 「なんと。天界ではこんな粗食を、豪勢だというのか」  椅子に掛けた比呂士は、紅茶のカップを傾けた。  つられるように輪も座り、紅茶に口を付けた。 「熱ッ!」 「ははは。天使は猫舌なのか」  比呂士は笑い、輪に顔を近づけた。 「火傷をしたかな。どれ、舌を見せてみろ」  言われるままに差し出した輪の舌を、比呂士はぺろりと舐めた。 「ひゃッ!」 「いちいち反応の面白い奴だ」

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