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第四章・6

「これも、あなたの魔法ですか?」 「魔界と人間界を行き来できる妖魔も、私の使い魔にはいるからな」  このネコたちも、先生の使い魔。  じゃあ、油断はできないな、と輪は考えた。  しかしそれには、比呂士は否定の声を上げた。 「勘繰るな。こいつらは、家事専門。お前に何の害も及ぼさんよ」  ネコたちは、実に働き者だった。  給仕をし、食器を片付ける。  その間に別のネコが、シーツやピローカバーを洗濯する。 「ヴェルフェル様、ベッドメイキングが終了しましたニャ」 「ご苦労。下がってよろしい」  比呂士がそう言うと、ネコたちは小さな木彫りの人形に変化し、棚におとなしく並んだ。

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