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第四章・10

「あ、西丘くん。具合どう?」 「ありがとう。少し寝てれば、治るから」  とても昨夜、涼宮先生に抱かれたからだるい、とは言えない。  当たり障りのない返事をして、輪は山本の声を待った。 「実は、僕をいじめてたグループが、全員停学処分になったんだ」 「ええっ!?」 「涼宮先生が職員会議で、議題に上げてくれて。停学を推し進めたのも、涼宮先生でね」  もちろん停学がとければ、彼らは登校してくるけど。  でも、もうこれで、あいつらに怯えながら生活しなくても済むんだ!  そんなことを、山本は一気に話した。 「小説も、新作を書き始めたよ。主人公が悪魔にさらわれて、異世界転生する話!」 「そ、そう。よかったね」 「また、読んでくれるかな。感想、聞かせてよね」 「もちろんだよ」

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