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第四章・14
比呂士が指を鳴らすと、木彫りのネコが動き始めた。
「ヴェルフェル様、メニューは何にいたしましょうかニャ」
「そうだな。輪、食べたいものはあるか?」
「え!? あ、か、カレーライス……」
「だ、そうだ。カレーライスとやらを食ってみよう」
「了解しましたニャ」
ちょこちょこと忙しく動き出したネコたち。
そのうちの一匹が、比呂士の後ろに回った。
「スーツを脱いでくニャさい」
「いや、輪にやってもらう」
「ぼ、僕!?」
ネコに習って、輪は比呂士のスーツを脱がせた。
シャツのボタンを一つ一つ外し、手首のカフスもケースに収めた。
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