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第四章・15

「ベルトも、ですか?」 「お前に任せる」  輪は、指先を震わせながらベルトのバックルを外した。  そして……、そして……。  ぴしりとプレスの入ったスーツパンツのファスナーに手をかけた。  ゆっくりと下ろし、自身も姿勢を下げて膝立ちした輪。  比呂士の性器を目の前にして、思いつめたような表情をしている。 (まさか、ここまで馬鹿正直に考えていたとはな!)  さて、この後どうするつもりなのか。  比呂士は少し意地悪な心地で、行方を見守っていた。  輪の行動を、見守った。

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