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第五章 深まる好意
比呂士のものを前にして、輪は細かく震えていた。
(動画で見た限りでは、これを……、つまり……、口で……)
ぎゅっ、と眼を瞑り、口を大きく開けたその時。
「夕食の準備が整いましたニャ!」
ネコたちが一斉に、二人の周りに集まって来た!
「早かったな。有能だ」
「お褒めの言葉、痛み入りますニャ」
立て、と比呂士は輪の腕を掴んだ。
「カレーライスが、冷める」
は~っ、と大きく息をつき、輪は立ち上がった。
膝が、やたらと痺れていた。
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