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第六章・4

 三角巾を被り、割烹着を着て、ナイロン手袋をはめる。  そして、大きなボウルで大量のチョコレートを湯煎する。  そうしながら、比呂士は輪の不器用さを嫌と言うほど見せられていた。 「あ! パウダーをひっくり返っちゃった!」 「あ~、チョコにお湯が混じっちゃった~」 「あぁ! 生クリーム、焦がしちゃったー!」  比呂士はトリュフを丸めながら、呆れた声を上げた。 「もう、諦めろ。ネコたちに頼めば、30分もかからんぞ」 「でも……、それじゃ僕の気持ちが込められない気がします」

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