73 / 159
第六章・5
意外に頑固な、輪の気質だ。
そうは言っても、と比呂士はテーブルを見た。
「あれから一時間頑張って、20個が36個になっただけだ。悪いことは言わん。ネコに任せろ」
お前は、ラッピングを頑張るといい、とも加えた。
リビングに、可愛い箱やら包装紙やらリボンやらが、山積みになっているのを見た。
あれでチョコを、素敵に飾るつもりでいるのだろう。
「そう……、ですか」
「そうだ。ハッキリ言おう。今のお前に、トリュフづくりは無理だ」
「そう……、ですね」
「まぁ、気を落とすな。メッセージカードに一筆書いてやれば、気もすむだろう」
ともだちにシェアしよう!