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第六章・5

 意外に頑固な、輪の気質だ。  そうは言っても、と比呂士はテーブルを見た。 「あれから一時間頑張って、20個が36個になっただけだ。悪いことは言わん。ネコに任せろ」  お前は、ラッピングを頑張るといい、とも加えた。  リビングに、可愛い箱やら包装紙やらリボンやらが、山積みになっているのを見た。  あれでチョコを、素敵に飾るつもりでいるのだろう。 「そう……、ですか」 「そうだ。ハッキリ言おう。今のお前に、トリュフづくりは無理だ」 「そう……、ですね」 「まぁ、気を落とすな。メッセージカードに一筆書いてやれば、気もすむだろう」

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