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第六章・6

 比呂士は輪がリビングへ向かうと、木彫りのネコに魔力をかけた。 「ニャーッ! このキッチンの有様は一体!?」 「片付けから始めないといけませんニャ!」 「忙し、忙しニャ!」  すまんな、と比呂士はネコたちに頼んだ。 「すぐにトリュフを160個作れ。いや、その前に夕食を。簡単なメニューで構わん」  時計はすでに20時を回っている。  おそらくは、飲まず食わずで頑張っていた輪を思いやり、比呂士は夕食を先に摂ることにした。  リビングへ行くと、さっそくカードに一筆書いている輪の姿が。 「え~っと。『いつも応援しています♡』、っと」 「同じ文言なら、コピーすればよかろう」 「肉筆であることに、意味があるんです!」  お前はホントに頑固だな、と比呂士が微笑むやら呆れるやらしていると、ネコがやってきた。

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