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第六章・8
「ね、比呂士先生」
「何だ」
「先生は、どうして僕を所有物にしたかったんですか?」
比呂士は、いぶかしげな顔をした。
なぜ、このタイミングで、そんなことを訊いてくる?
(お前の純白の羽を標本にしたかったのだ、と明かすのはまずいな)
逃げられては、大変だ。
輪は、ようやく懐いて来たところ。
もう少し心を開き、何の疑問も持たずに魔界へついて来るくらいまで、信用させねばならない。
「それは、お前を愛したからだ」
「えぇッ!?」
「何だ、そのリアクションは。私がお前を愛するのは、不思議か?」
「いえ、あの」
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