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第六章・11

「済んだか」 「はい。ネコさんたちが、包装も手伝ってくれました!」 「ご苦労だったな」  比呂士が指を鳴らすと、ネコたちは小さな木彫りの人形になって並んだ。 「しかし、これだけかさ張るものを、明日どこへ隠しておくつもりだ?」 「あ、そうですね……」  仕方がない、と比呂士は頷いた。 「教員用ロッカーなら、これくらいだったら何とか入るだろう。私のロッカーを使え」 「いいんですか」 「乗りかけた船だ。かまわん」  ありがとうございます、と嬉しそうな輪の笑顔だ。 「お前も早くシャワーを浴びて来い。まだ頬にチョコが付いているぞ」 「え? あ、はい!」  ぱたぱたと響く足音を心地よく聴きながら、比呂士は寝室へ入った。 「もう22時か。あいつは長風呂だから、出てくるのは23時といったところか」  髪を乾かしたり、明日の準備をしたりしていると、0時を過ぎるだろう。 「今夜のお楽しみは、お預けだな」  それでも満ち足りた心地で、比呂士は一つあくびをした。

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