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第六章・12

 2月13日の放課後、無事にクラス全員の机の中にチョコを忍ばせた輪。  チョコの渡し主は、謎の人、ということにして、カードに名前は書かなかった。  だがしかし。  2月14日の朝、輪は女子に囲まれ黄色い歓声を受けていた。 「ね、このトリュフ、西丘くんでしょ!?」 「ありがとう! 嬉し~♪」 「女子にもくれるとか、最高♡」 (簡単に、バレてる!)  焦る輪に、山本がトリュフ片手にやって来た。 「こんなことしてくれるの、西丘くん以外いないもん。ありがとね」  男子からも、何だ西丘の仕業かよ、などと嬉し半分落胆半分の声が湧いた。  だが、みんな笑顔だ。 (よかった。喜んでもらえたみたい)  そこへ、担任である比呂士が教室へ入って来た。

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