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第六章・15

 比呂士は、ネコを召喚した。 「輪に、トリュフを作ってやれ。私はバスを使う!」  あまりの輪の間抜けさに、比呂士は少々苛立った。 (天使候補生と言うのは、こんなにも詰めが甘いか?)  間抜けも可愛いものではあるが、度が過ぎるとストレッサーだ。  バスタブに浸かり、100まで数えて、比呂士はイライラを治めていた。 「ヴェルフェル様、あと10000数えてから出てきてほしいニャ」  ネコの声だ。 「私に、のぼせろと?」 「10000我慢すれば、素敵なことが起きるニャ」  何なのだ。  ネコに夕食の準備を命ずることを忘れていたが、先回りして好物の鹿肉でも用意したか?  損はあるまい、と10000数えてバスルームを出た。  

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