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第六章・16

「あ、比呂士先生」  キッチンは片付けられ、輪がネコに囲まれ立っている。 「何だ。夕餉の準備はできていないではないか」 「夕食の前に、素敵なことがあるニャ」 「さあ、輪。勇気を出すニャ」 「応援してるニャ」  ネコに押されて、輪が一歩前に出た。 「あの、比呂士先生。これ、受け取ってください!」  後ろに回していた手を前に出し、輪は縋るような眼で比呂士を見た。  赤い包装紙に、金色のリボンでラッピングされた大きな箱。 「何だ、これは」 「……開けてください」  比呂士は、包装を解き箱を開けた。 「これは……」  中には、いろいろな種類の可愛いトリュフが、たくさんたくさん入っていた。

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