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第七章 罪と罰

 バレンタインデーも済み、2月も下旬に差し掛かって来ると、3年生は卒業式を控えるようになる。  一括りに『卒業を控えた三年生』とはいえ、個々を見ると様々だ。  すでに進路の決まった者、試験の結果待ちの者、まだ受験を控えている者……。  ここに、すでに進学の決まった4人組がいる。  彼らは年を越す前からすでにその安定した状況に置かれており、周囲が受験や面接に一喜一憂する様を余裕で見下ろしていた。  卒業までの残された時間を、遊んで過ごしていた。 「なぁ、何か面白いことねえかな」 「ゲーセン、行く?」 「金かかるしな~」 「2年の増田(ますだ)でも、からかいに行こうぜ」

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