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第七章・5
「それで僕は、その3年生の一人一人と話して、増田くんをもうこれ以上いじめないよう頼むつもりなんです」
「また無為なことを」
「4人でなく、一人になれば、話もちゃんと聞いてくれるって思うんです!」
「ネコ、ワインのつまみを何か持って来い」
もう、ちゃんと聞いてください、と食卓で輪は比呂士と向き合っていた。
「いじめをするような連中に、正論をぶつけても無駄だ」
「じゃあ、どうしろと言うんです」
「それは魔族の管轄外だ。お前も天使候補生なら、自分で考える事だな」
もう、と輪はプチトマトをぱくりと口に放った。
以前山本がいじめられていた時、比呂士はその犯人を全員停学処分に持って行った。
それは彼が、教師と言う肩書を持っているからこそできる、力業なのだが。
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